君たち(東大生)はどう動くか?
ー学生によるアプローチについて
P2305 Rece to Zero 計画プロジェクトメンバー 前期教養学部 周文佳
東京大学は、2030年までに大学のGHG排出量を対2013年比で半減する目標を掲げています。また、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロにするための行動を促す国際キャンペーン「Race to Zero」に機関として参加し、国際社会と連携していきます。そんな大学の目標やアクションに、学生が関わり、意見を反映させ、議論を進め、行動を加速させるために、GXSNではRace to Zeroプロジェクトというのも進行中です。例えば東大は毎年、クライメイトアクションの報告書を作成して、目標および進捗状況、今後のプランなどを更新していますが、皆さんはご存じでしょうか。
これらの目標や計画を実現する上で、「東大の学生の動き方」というのが重要な変数となってきます。二つほど軸があると考えていて、1つは消費者としてどう動くか(需要側の取り組み)、もう一つは研究や技術、職業の面から社会に影響力を与えていく学生として、どう動くかです。一つ目はしばしば、「自分一人や、1つの大学の排出量が変わったって・・・」というよくたどり着く考えへのアンサーとして主張したいです。そもそも東京大学の所有地は全国に広がり、事業体としても温室効果ガス削減の影響力が大きいです。また、「東大」という機関が「こういうアクションをしている」ということには情報的な波及効果などの価値もありそうです。
しかしなによりも、こうした身近なところの排出抑制や削減で行動や思考を始めるところを起点に、電力システムやガスなどのインフラサービスの脱炭素化についての理解が深まったり、普段選択して消費するモノを考えるところから、それがグローバルで重層的なサプライチェーンを通じて、世界中と繋がっていて、アフリカで気候変動の影響から干ばつが深刻化し世界全体の食糧生産に影響[5]が出ていることを知ったりできます。
現在の経済システムではサプライチェーンが巨大で長すぎるために、一人の消費者としての自分のインパクトが、どのようなアクターに、どんな作用を与え、様々な意思決定や自然環境の作用を経て、どうフィードバックされるのか、「わかりやすく」認識することはできない複雑なものです。でもその枠組みを深堀り、細かく課題を見ていき、どう解決していくか考えて行動することは「難しくておもしろい」ことなのです。やりがいしかないでしょう。
(たとえば、以下のような科学的な知見が示すように、直感に反して、食のシフトという1つの行動の削減ポテンシャルはバカにならないものがあります。)

解説者: 増井利彦 国立環境研究所 社会システム領域 領域長(IPCC AR6 WG3 第4章 代表執筆者)
今回の企画を見て、気候変動など環境の問題に危機感はあるけれど、食べるだけで何も変わらないだろう、ただの啓発活動だろう、と思った方、ぜひともその続きの話をしませんか?
P2305 Race to Zero 計画プロジェクトでは、東京大学の温室効果ガス排出量を直接、間接排出含めどのように把握し、スコープ3をどう減らすのか/データ駆動型で行動変容に繋げるために具体的にどうするのか/エネルギーにフォーカスして東大のGXの取り組みに学生の議論を加える「学生エネルギー会議」の開催、などのプロジェクトが進行中です。人手が圧倒的に不足しています!お待ちしております。